【管理人コラムVOL.31】キャッチャーのリードは「結果論」なのか?改めて考えてみた。

こんにちは。オリックスバファローズ最新ニュース管理人のHALです。
試合の中日にあたりますので、今日はコラムをお送りしたいと思います。

今日のテーマは…改めて、キャッチャーのリードについて、私が思っていることを言葉にしていきたいと思います。
様々な意見があるので、私自身も自分を振り返る意味で、書いていきたいと思います。

■キャッチャーのリードは「結果論」か?

まず、前提として、キャッチャーのリードは結果論か?という議論がある。
この点に関しては、事実「YES」と答えるほかないのだと思う。
同じリードをしても打たれることもあれば、打たれないこともある。
これは厳然たる事実として受け止める必要があることなんだと思う。

ただ、もしこの言葉を思い切り真に受けて、「結果論だから」と打たれたピッチャーに対して、オレの配球のせいじゃないよというような態度をとるキャッチャーが居たらどう思うか。
少なくとも、私がピッチャーだったら、そんなキャッチャー、信頼に値しない。
例えば、極論になるけれども、もし「すべて、同じコースに、カーブ」という要求をしたとして、打たれてしまった場合、こんなものを結果論として片づけることはできないでしょう?
「球種変えときゃ、抑えられたかな…」って思うのは、フツーのこと。

■「結果論」だからといって、「結果」を諦めるなと思う。

だから、私のリードに対する考え方は、結果そのものは「結果論」かもしれないけれど、その結果に至った「過程」を整理された状態で伝えることができる必要はあるんじゃないか、ということ。
言い換えると、結果を諦めるな、ということ。

つまりは、突っ込まれたときに「それは○○で△△だったので、□□です。」って考え方を、それこそ相手が折れるくらいまで徹底して答え切れるぐらいの軸が必要だと思うんです。
で、それぐらいの弁が立つようになる頃には、投手にも考え方を信頼されるようになると思いますしね。

というか、これは一般の社会でも一緒ですよね。
テキトーになんとなくやりました、っていうのと、理由があってこのようにしました、ってモノがあるかどうか。
どっちの方が信頼して任せられるのか?っていうことだと思うんですよ。

■リードを「説明するソースとなる理由」とはなにか?

では、その「理由」には何があげられるのか。
私が思いつくものは、以下のような点。

・その日の投手のコントロール
・その日の投手の一番いい球
・相手バッターの身体の動き方
・今までのデータ(スコアラーさん)
・守備陣形
・点差
・アウトカウント
・ピッチャーとコミュニケーションを取った結果

他にもあるかもしれないが、今考えられるのはこの辺り。
で、ベースはやはり、今までのデータということになるんだろうけど、これだけでは抑えることができない。
なぜなら、相手も同じように研究をしてくるし、弱点を克服してくるケースもあるから。

となると、自分のチームに居るメンバーのことや、「いま、どうなのか」という点でなんとかできるようにしていく他はない。
そうなると、重要なポイントは…

<マウンド・バッター間>
・その日の投手のコントロール
・その日の投手の一番いい球
・相手バッターの身体の動き方

<グラウンド内>
・守備陣形
・点差
・アウトカウント

<ベンチ・ブルペンなど>
・ピッチャーとコミュニケーションを取った結果
・(データ)

特に、上3つが大事で、それを下5つでサポートするって感じですね。
なんせ、一番あってはならないと思うのが、「データ」だけで勝負すること。
ハッキリ言って、データは過去だから、鮮度が落ちてしまうこともしばしばですからね。
(これは采配にも言えることだと思う。)

で、私はリードに関しては、配球だけのことだとは思っていなくて。
ベンチに居るときも気になることがあったら話をしたり、はたまた打たれたあとのカバーリングであったり。
そういうのも含めて、ピッチャーの投げやすい環境づくりをしていくこと。
それがリード…もとい、キャッチャーの仕事だと思うんです。

もちろん、投手から信頼を掴んでいくためには、思い通り投げてもらうための「キャッチング」、ランナーを出してしまったときにランナーを刺してくれる「肩」も必要になってきますけどね。
(特に、キャッチングは本当に大事だと思う。これが出来ないとベンチからも落ちる球などの配球を制限されるだろうし、ピンチになると余計に戦術の幅が狭くなってしまうから。)

■キャッチャーは、最後の砦。

そして、もうひとつ。
実はキャッチャーのリードが大切だ、って思う最も重要な要素がある。
それは、ピッチャーの調子が悪かったときに「最後の砦」になるところだ、ということ。

バファローズ戦で解説している元・投手陣の解説者…山崎氏、野田氏、山沖氏。
野球観はそれぞれ違うところもあるお三方が揃って口にしていたのが…

「ピッチャーなんて、本当に調子いい事なんか年1、2回ですよ。」ってこと。
そして、「気分によってめちゃくちゃ左右される」ということ。

もちろん、お三方とも二けた勝利を何度も経験した名投手。
彼らは三人とも、ローテションの中心で回っていた投手。
そんな投手でも調子がいいのはその程度の頻度しかない、ということをおっしゃっているわけで。
つまりは、目の前で投げている投手は、なにかしらの問題点を抱えている可能性がある、っていう前提が必要だと思うわけです。
それを会話なりで引き出すなどをして、大事故を起こす前に問題点をクリアにすることも大事な仕事。
(技術的な指導は当然、投手コーチの仕事だけど。)

冷静に見れば、投球の動作にはそうとう複雑なメカニックがあるわけで。
最後の最後、リリースの瞬間だけがミスになってしまうだけで、人生が変わり得るわけで。正直、これに関しては直せ!って言ったってすぐ直るもんじゃないですしね。「物理的」なものだからね。不安定で当たり前。
精度を上げる努力は当然必要だけども、すぐに精度が上がるなんてことはあり得ない。

まして、身体のコンディションが悪いとなったら、改善にかかる期間が年単位の話になり得るし、もっと言えば「壊れてしまっている(改善見込み不明)」かもしれないわけで。
そういうピッチャーに対して、肩をすぐに治せ!調子をすぐにあげろなんて、現実的じゃないでしょう?
だから、私は投手が打たれたときに「酷使などが原因のメカニック的な不振」だと思しき投手に関して責めたくないのである。
静かに、登録を抹消してやって、ゆっくり調整させてやってほしいのである。
※何年も実績があげられていない人は別。

それに対して、リードは思考だから、すぐに改善することが十分に可能だと思う。
打たれたパターンから逆算して、次はこうしようか、っていうことを決めて、実行(もしくはやらない、と決める)すれば終わり、である。
だからこそ、状況が改善するスピードが早い「リード面の改善」を望むのは合理的でもある。
リード面には、投球には必須となる「目に見える物理」がないのだから、安定感の出せる要素のはずである。
しかも、肩のような消耗品ではなく、積み上げることのできる「財産」である。

■バファローズの投手陣の調子は良くない。でも、それはすぐには直らんから。

で、バファローズの現状と照らし合わせてお話しすると…正直、お世辞にもピッチングスタッフの調子は良くない。
前年度、実績組(中山・前田祐二がいれば…)を切り過ぎたせいもあって、主力が不調だと「まっさら一軍ほぼ未経験の若手」みたいな入れ替えパターンしか実行できず、技術に加え、気持ちの部分でもいまひとつなまま上がってきているのかな?と思しきケースも多く、この点は当然「コーチ陣」の仕事の出来なさであったり、編成の部分は責められるところ。

だけど、やってしまったものは、しばらくは戻せないわけでね。
だからこそ、今、なんとかキャッチャーに頑張ってリードしてカバーリングしてほしい…
と首脳陣が思うのは、そりゃそうだ、と思う。(責任取れ!とももちろん思うけど。)

ただ、裏を返せば、しっかりした(試合をむやみに壊さない)リードをすればグングン評価が上がっていくわけだから、このチーム状況はチャンスだと思う。特に、実績のあまりない若手を上手くリードすれば、一気に株が上がるのは若月がさちやとのコンビで証明したと思う。

■伊藤を、「実績のない若手」と同列に並べるのは、侮辱だと思う。

ほんでもう一点。
22-6事件のときに伊藤が公開で説教されたことについて、あんなことをするな!という意見もあったけど…
私は、怒られなくなったら、本当に終わりだと思うんですよね。

そりゃ、伊藤がなーーーんの実績もない、これから、っていう選手なら、アホみたいに叱り飛ばしても勢いがなくなるだけだと思うけど…
伊藤は、ベストナイン経験者&選手会長やん。それを他の実績のない若手と同列に並べるのは、むしろ伊藤に対する侮辱とすら私は思う。
もしかしたら、裏では「怒られ役」やってくれとも言われているのかなと思う。
言っちゃ悪いけど、あの試合で投げた鈴木や大山を叱っても意味がないと思うし。
実績ない人間に怒ってもチームがシラケるだけだと思うしね。

現に、怒らない主義を今かかげているイーグルスの惨状はひどいもの。
ミスっても何しても野放し状態だから、悪くなると雰囲気が弛みっぱなしになるという例だと思う。
イーグルスが最強だったのは、叱る闘将・星野仙一氏のときだったわけでね。

■一度、私自身の考え方も整理したかった。

さて、長々とコラムを書いてきましたが…
私は現状、このような考え方でリードを観察しながら野球を見ています。
色々なご意見をいただくことも増えたので、一度自分の考えを冷静に整理するという意味でお話ししました。

今後、試合のレポートを書いていく上でも、無用な批判になっていないか。はたまた見落としはないか。
そしてもっと言うと、リードだけに執着しすぎずに野球を見る、というきっかけにできれば、私自身としても視野がもっと広がるんじゃないか、と思って今回のコラムを書きました。

ほんと、かなり長い文になりましたが、最後までお読みいただきましてありがとうございます!

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「【管理人コラムVOL.31】キャッチャーのリードは「結果論」なのか?改めて考えてみた。」への6件のフィードバック

  1. 試合を観戦するにあたって、とても参考になるお話しをありがとうございます。
    キャッチャーって、大変な仕事だなと改めて思いました。
    体中に防具をつけ、リードが冴えて勝利しても大抵はピッチャー好投の影に隠れ、おまけにバッターのバットが飛んできたり大事な部分にボールが当たったり…
    伊藤光にはまだまだ、乗り越えていない事がたくさんあると思います。オリックスには才能のあるピッチャーが多数いると思います。
    1日も早く、乗り越える課題に気がつき、彼らとの会話の中からいい投球につながるヒントを得られるようなそんなキャッチャーになって欲しいって思います。

    1. みやじまさん
      コメントありがとうございます!

      そうなんですよね。すっごく大変な仕事。
      だからこそ、それこそ光を当ててあげたいわけです。
      私は投手の好投には必ずリードあり、だと考えています。
      だからこそ、光ったところはしっかりと取り上げてあげたいと思うんですよね。

      特に伊藤の場合は、山崎と比べると「派手」(オーソドックスではないため、よくも悪くも目立つ)なため、どうしても私も辛い意見になる部分があります。
      ほんで、首脳陣らの信頼も「ある」から選手会長をやらせてもらっているんだと思いますし、だからこそ、乗り越えてほしいと思うんですよ。
      再昇格してからしばらくは、「おっ、リードが変わった!」と思う部分も当然あったわけですしね。

    1. ウリさん
      コメントありがとうございます!

      そこも重要ですよね。以前に比べたらよく首を振るようにはなったとは思いますが…

  2. コラムありがとうございます(*^^*)
    昨日の野田さんの解説分かりやすかったし、直接アドバイスして下さい…って思ってたんですけど、そういう方だったんですね(^◇^;)
    と、伊藤への公開説教はホント止めて…って思ってたんですけど、もしかしての「怒られ役」になっているならちょっと(ホントは嫌ですけど)納得出来るかな…って思いました。(出来れば見たくないですけど…( ;´Д`))
    伊藤に乗り越えて欲しいからってのがあってこそなのかな…って思いたいです。
    HALさんのコメントも伊藤への期待を込めての厳しさだと勝手に受け止めてます(笑)
    (リードについてのコラムなのに伊藤の事になってスミマセン)

    1. sachiさん
      コメントありがとうございます!

      投手は神経質、かつ、いい加減。気分屋。そんなもんって言う方は結構耳にしますね(^^;
      私が思うのは、あの場面で例えば首脳陣が「俺らの責任」とか言っても、それはそれできれいごとに聞こえるなーとも感じたんですよね。
      もちろん、あんな公開説教なんて何度もやるもんじゃないんで、そこは分かってるとは思いますけどね。

      実際問題、キャッチャーに関してはボロカス言われても乗り越えた人しか一流になってないと思いますしね。
      あの古田さんですら、リードは三流とかノムさんに言われてたぐらいですからね…
      もっとも、キャッチャー出身の監督に言われるのか、そうでないのか、で気分が違う部分はあるんでしょうけどね。

      あと、説教することに関して思い浮かんだのは、やっぱり前・正捕手の日高になーんも言わんと(ライバルを育てなかった)育てた結果、そのまま年を取って結果「ベテランに求められるインサイドワーク」がしょっぱいままになったから、現役生活が短くなったこともあるのかなーと思います。だから、本当の意味で「危機感」を感じてほしいんだと思います。

      もし、私が期待していない場合は「使う方が悪い」って言いますから。
      伊藤は先日の西武ドームでのディクソンと組んだ時のように、鋭いときはめちゃめちゃ鋭い捕手。
      その「安定感」を高めていってほしいと思います。

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